「あの時、本当に嫌だった」
「もう同じことは繰り返したくない」
「次はこうしようと決めたはずなのに、また同じ対応をしてしまった」
このようなことはありませんか?
嫌だった出来事は、何年経っても覚えていることがあります。
相手に言われた言葉。
その時の表情。
自分が腹を立てたこと。
言い返せなかったこと。
帰宅してから何度も考えたこと。
一方で、そのあとに考えたはずの、
- 次は断る
- すぐ返事をしない
- 相手の機嫌を取らない
- 話せる時間を最初に伝える
- 同じことが続いたら距離を取る
といった対策は、次の場面になると忘れてしまうことがあります。
そして、また同じことが起きたあとで、
> そういえば、前にも同じ対策を考えていた。
と思い出します。
嫌だったことを覚えているのに、なぜ対策だけ忘れてしまうのでしょうか。
理由の一つは、嫌だった出来事と対策では、記憶に残る強さや思い出すタイミングが違うからです。
嫌な出来事は、強い感情と結びついて記憶に残りやすいものです。
一方、対策は落ち着いている時に考えた「これからの行動」です。
次に同じ状況が起きた時に、その対策を思い出す仕組みがなければ、いつもの反応を繰り返しやすくなります。
この記事では、嫌だったことは覚えているのに対策を忘れる理由と、次の場面で実際に使える形で対策を残す方法を解説します。
嫌だったことと対策は、同じようには記憶されない
嫌だった出来事は、感情と一緒に記憶されます。
たとえば、
- 強い怒りを感じた
- 恥ずかしかった
- 傷ついた
- 怖かった
- 不公平だと感じた
- 自分を軽く扱われたと感じた
といった感情です。
そのため、似た人や状況に出会った時、嫌だった記憶が自然に浮かぶことがあります。
一方で、対策は、
> 次は断ろう
> 今度はこう言おう
> すぐに返事をしないようにしよう
と、出来事が終わってから考えることが多いものです。
この対策には、嫌だった出来事ほど強い感情が結びついていない場合があります。
また、対策を考えた時と、実際に使う場面との間に時間が空くこともあります。
その結果、
- 嫌だったことは思い出す
- また起きるかもしれないと不安になる
- しかし具体的に何をするかは思い出せない
- いつもの対応を取る
- 出来事のあとで対策を思い出す
ということが起きます。
対策を考えるだけでなく、必要な場面で思い出せる形にすることが大切です。
嫌だったことは覚えているのに対策を忘れる7つの理由
1. 対策が抽象的な言葉のままになっている
対策を考えていても、内容が抽象的だと記憶にも行動にも残りにくくなります。
たとえば、
- 次は我慢しない
- もっと自分を大切にする
- 相手に振り回されない
- ちゃんと断る
- 距離を取る
- 気にしすぎない
といった対策です。
これらは考え方としては間違っていません。
しかし、実際の場面で何をするのかが分からないため、思い出しても使えないことがあります。
たとえば、
> 次は断る
ではなく、
> 急に頼まれたら、その場では返事をせず、「予定を確認してから返事します」と伝える。
と具体化します。
また、
> 相手の機嫌を取らない
ではなく、
> 相手が不機嫌そうでも、すぐに理由を聞かず、自分の作業を続ける。
とします。
対策は、考え方ではなく、次に取る行動や言葉まで決めることが大切です。
具体的なルールの作り方については、自分を守るためのルールの作り方|「頑張って耐える」以外の方法を持つためにも参考にしてください。
2. 嫌な出来事と対策を別々に記録している
対策をメモしていても、どの出来事に対するものか分からなくなることがあります。
たとえば、メモに、
- すぐに返事をしない
- 相手の機嫌を背負わない
- 時間を最初に伝える
とだけ書いてある状態です。
しばらく経ってから見返すと、
> これは、どんな時に使う対策だったのだろう。
と分からなくなることがあります。
対策は、嫌だった出来事や条件とセットで残します。
例
起きたこと
退勤前に急な仕事を頼まれ、反射的に引き受けた。
次に試すこと
急な依頼にはその場で返事をせず、「今の作業を確認してから返事します」と伝える。
このように残すと、似た状況が起きた時に対策を結びつけやすくなります。
3. 対策を考えただけで、実際に使う練習をしていない
頭の中で対策を考えても、実際の場面では言葉が出ないことがあります。
特に、断る、注意する、距離を取るといった行動は、相手の反応への不安があるため、その場で使いにくいものです。
たとえば、
> 次は「今日はできません」と言う。
と決めていても、実際に相手を前にすると、
- 理由を細かく説明してしまう
- 申し訳なくなって引き受ける
- 相手の不満そうな表情を見て撤回する
- 別の案を自分から出す
ことがあります。
対策は、書くだけでなく、一度声に出したり、使う言葉を短くしたりしておくと実行しやすくなります。
たとえば、
> 「今は返事できません」
> 「今回はできません」
> 「今日はここまでにするね」
のように、短い言葉にします。
4. 次に同じことが起きる場面を想定していない
対策を考えても、どの場面で使うのかが曖昧だと、思い出しにくくなります。
たとえば、
> 次は相談を聞きすぎない。
だけでは、いつから「聞きすぎ」なのか分かりません。
そこで、
> 夜に電話が来た時は、すぐに出ず、まずメッセージで用件を確認する。
> 電話に出る場合は、最初に「今日は15分くらいなら話せる」と伝える。
と、場面を具体化します。
対策を考える時は、
- 誰といる時か
- どんな言葉を言われた時か
- 何時ごろか
- どの段階で行動するか
- 相手がどう反応したら次に何をするか
まで考えておくと、使うタイミングが分かりやすくなります。
5. 嫌なことが起きた時に考える余裕がない
対策を忘れるというより、思い出す余裕がない場合もあります。
嫌な出来事が起きている最中は、
- 驚いている
- 焦っている
- 相手の反応が怖い
- 早くその場を終わらせたい
- 疲れていて判断力が落ちている
- 周囲の目が気になる
ことがあります。
その状態では、落ち着いている時に考えた対策より、いつもの反応を取りやすくなります。
たとえば、
- とりあえず引き受ける
- 自分が謝る
- 相手をなだめる
- 最後まで話を聞く
- 言いたいことを飲み込む
といった反応です。
この場合は、問題をその場で解決しようとするより、考える時間を作る対策が役立ちます。
例
- 「すぐには決められないので、あとで返事します」
- 「一度確認してから連絡します」
- 「今は話せないので、あとでお願いします」
- 「少し考える時間をください」
考える余裕を作ること自体を対策にしておくと、以前決めた行動を思い出しやすくなります。
6. 対策を試した結果を振り返っていない
一度考えた対策が、自分に合っているとは限りません。
たとえば、
> 相談を聞く時は、最初に時間を伝える。
という対策を決めたとします。
実際に試した結果、
> 15分と伝えたが、相手が話し続けて30分になった。
のであれば、次は、
> 15分経った時に、「そろそろ時間なので今日はここまでにするね」と伝える。
という対策を追加する必要があります。
試した結果を残さないと、以前と同じ不十分な対策を何度も考えることになります。
対策は、
- 考える
- 試す
- 結果を見る
- 修正する
- うまくいった方法を残す
という流れで育てます。
嫌な出来事を対策へ変える方法については、嫌なことを改善に変える方法|同じことを繰り返さないための記録と振り返りも参考にしてください。
7. うまくいかなかったことばかり覚えている
人は、嫌だった出来事や失敗した場面には強く注意を向けやすいものです。
そのため、
- また断れなかった
- また相手の機嫌を取った
- また長時間話を聞いた
- また何も言い返せなかった
ということは覚えていても、
- 一度は返事を保留できた
- 前回より早く電話を切れた
- 相手が不機嫌でも、すぐに謝らなかった
- 話を遮られた時に、一言だけ伝えられた
という小さな変化は忘れてしまうことがあります。
対策を続けるためには、できなかったことだけでなく、できたことも残す必要があります。
完璧に行動できなかったとしても、前回と違った部分があれば記録します。
それが、次に使える自分の攻略法になります。
対策を忘れないための記録方法
対策は、単独のメモではなく、次の項目とセットで残します。
1. どんなことが起きたか
実際に起きた出来事を短く書きます。
例
> 退勤前に仕事を頼まれ、その場で引き受けた。
2. どの時点で困ったか
問題が大きくなった最後の場面ではなく、最初に行動を変えられそうだった地点を探します。
例
> 仕事を頼まれた瞬間に、予定を確認せず「できます」と答えた。
3. 次に使う言葉を決める
対策は短い言葉にします。
例
> 「今の作業を確認してから返事します」
4. どんな時に使うか決める
対策を使う条件も残します。
例
> 急な仕事を頼まれ、その場で返事を求められた時。
5. 相手が受け入れなかった時の行動を決める
最初の対策だけで終わらない場合に備えます。
例
> 急かされたら、「10分後に返事します」と伝える。
6. 試した結果を残す
実際に使えたか、負担が減ったかを書きます。
例
> 返事を保留したことで、作業量を確認できた。翌日対応なら可能だと伝えられた。
7. 今後も使う攻略法としてまとめる
最後に、別の場面でも使える短いルールにします。
例
> 急な依頼には、その場で返事をしない。
この形で残すと、嫌だった出来事だけでなく、次に何をすればよいかも見返せます。
対策を思い出しやすくする具体的な工夫
よく起きる場面ごとに対策をまとめる
対策を、出来事が起きた順に並べるだけではなく、場面ごとに整理します。
たとえば、
急な頼みごと
- その場で返事をしない
- 期限と優先順位を確認する
- 「確認してから返事します」と伝える
長時間の相談
- 電話に出る前に用件を確認する
- 最初に話せる時間を伝える
- 終了時間になったら自分から切る
相手の不機嫌
- 表情だけで自分が悪いと決めない
- 必要なら一度だけ確認する
- 何も言われなければ自分の予定に戻る
このようにまとめると、似た出来事が起きた時に探しやすくなります。
対策を短い一文にする
長い文章は、その場で思い出しにくいことがあります。
対策は、短い一文にします。
- 急な依頼には、すぐ返事をしない
- 夜の相談は翌日にする
- 一度断ったことは説明し直さない
- 不機嫌な人をすぐになだめない
- 話を遮られたら、最後まで話したいと伝える
短くすると、次の場面で使いやすくなります。
必要な場所に置く
対策は、記録しただけでは思い出せないことがあります。
よく起きる場面に合わせて、見える場所へ置く方法もあります。
たとえば、
- 仕事の対策はデスクのメモに置く
- 電話の対策はスマートフォンのメモに置く
- 会議で使う言葉は会議ノートに書く
- よく使う断り方を一覧にする
- 予定表に短い注意を書いておく
対策を使う場面の近くに置くと、思い出すきっかけになります。
定期的に攻略法だけを見返す
嫌だった記録をすべて読み返す必要はありません。
むしろ、過去のつらい出来事を何度も読むと負担になることがあります。
そこで、うまくいった対策や、今後使いたい方法だけをまとめたページを作ります。
たとえば、
自分の攻略法
- 急な依頼には、10分考えてから返事をする
- 疲れている夜は相談を受けない
- 予定変更には、その場で同意しない
- 相手が不機嫌でも、一度以上理由を確認しない
- 話を遮られたら、説明を続けたいと伝える
嫌だった出来事ではなく、今後使う方法を中心に見返します。
対策を忘れた時に自分を責めなくていい
以前考えた対策を忘れ、また同じことをしてしまうと、
- 何も学んでいない
- また失敗した
- 考えた意味がなかった
- 自分には変われない
と感じるかもしれません。
しかし、対策を忘れたこと自体にも情報があります。
たとえば、
- その場では考える余裕がなかった
- 対策が抽象的だった
- 相手の反応まで想定していなかった
- 使うタイミングが遅すぎた
- 目に入る場所に残していなかった
- 自分に合わない対策だった
ということが分かります。
その場合は、対策を実行できなかったことを責めるより、
> 次は、どの段階なら思い出せそうか
> どのような形なら使いやすいか
を考えます。
同じことで何度も悩む理由については、同じことで何度も悩む理由|対処法を考えても繰り返してしまう人へも参考にしてください。
嫌だったことより、役立った対策を残す
嫌な出来事を記録していると、ノートの中が、
- 嫌だったこと
- 相手への怒り
- できなかったこと
- 後悔したこと
ばかりになることがあります。
しかし、次の自分を助けるのは、嫌だった記憶だけではありません。
特に残しておきたいのは、
- 使えた言葉
- 負担が減った行動
- 断れたタイミング
- 以前よりうまくできたこと
- 繰り返し使えそうな方法
です。
たとえば、
> 「確認してから返事します」と言ったら、急な仕事をその場で引き受けずに済んだ。
> 夜の電話に出ず、翌日に話したら疲れが残らなかった。
> 相手が不機嫌でも追いかけなかったら、自分の予定を続けられた。
という記録です。
うまくいった対応を残すことで、次の場面で一から対策を考えなくて済みます。
NOPE NOTEで、対策を自分の攻略法として残す
NOPE NOTEは、嫌だったことだけでなく、次に試す対策や、その後の結果まで残せるアプリです。
嫌だった出来事は覚えていても、その時に考えた対策は忘れてしまうことがあります。
記録をまとめて振り返ることで、
- 以前どのような対策を考えたか
- どの場面で使う対策だったか
- 実際に試せたか
- 負担が減ったか
- 次は何を変えるか
- 今後も使いたい方法は何か
を確認できます。
嫌なことを何度も思い出すためではなく、次に同じことが起きた時に、一から悩み直さなくてよいように残しておく。
うまくいった方法を集め、自分に合った攻略法として育てていく。
NOPE NOTEは、嫌だったことを、次に試せることへ変えるためのアプリです。
まとめ
嫌だったことは覚えているのに対策を忘れるのは、珍しいことではありません。
嫌な出来事は強い感情と結びついて記憶に残りやすい一方で、対策は使う場面や思い出すきっかけがなければ、忘れやすいものです。
対策を次の場面で使いやすくするために、次のことを意識してみましょう。
- 対策を抽象的な言葉で終わらせない
- 嫌だった出来事と対策をセットで残す
- 次に使う短い言葉を決める
- どの場面で使うかを具体化する
- 相手が受け入れなかった時の行動も決める
- 試した結果を振り返る
- うまくいった方法を自分の攻略法としてまとめる
- 攻略法だけを定期的に見返す
嫌だった記憶を消すことはできなくても、その記憶から次に使える方法を取り出すことはできます。
> また同じことが起きた。
と後悔するだけで終わらず、
> 前にも似たことがあった。今回はこの方法を使ってみよう。
と思えるように、対策を使える形で残していきましょう。
書いて終わらせたくないときに
今日の気づきを、次に使える攻略法へ
話した内容から次に試すことをひとつ残し、実際に使えたかまで振り返れます。少し役立った方法は、自分に合う攻略法として育っていきます。
今のことを話す
