「嫌なことをノートに書いても、現実は何も変わらない」
「嫌だったことを思い出して、余計にネガティブになりそう」
「結局、ただの愚痴ノートになるのでは?」
そんなふうに感じることはありませんか?
たしかに、嫌な出来事や相手への不満を書くだけでは、状況が変わらないこともあります。
何度書いても同じことで疲れる。
書いた直後は少しすっきりしても、また同じことが起きる。
ノートを見返すこともなく、嫌な記録だけが増えていく。
この状態では、「嫌なことノートを書いても意味がない」と感じるのは自然なことです。
ただ、問題は、嫌なことを書くこと自体ではありません。
書いた内容が整理されず、次に試すことへつながっていないことにあるのかもしれません。
嫌なことノートは、嫌な気持ちを保存するためだけのものではありません。
- 何が嫌だったのか
- なぜそこまで疲れたのか
- 以前にも似たことがなかったか
- 本当はどうしてほしかったのか
- 次に同じことが起きたら何を試すか
こうしたことを整理し、同じストレスを少しずつ減らしていくために使えます。
この記事では、嫌なことノートが意味ないと感じる理由と、書くだけで終わらず、次の対策につなげる方法を解説します。
嫌なことノートの基本的な考え方から知りたい人は、嫌なことノートとは?書き方・続け方・効果をやさしく解説も参考にしてください。
嫌なことノートは本当に意味がない?
嫌なことノートに、書いた瞬間すべてを解決する力があるわけではありません。
ノートに書いたからといって、
- 苦手な人が急に変わる
- 職場の環境がすぐ改善する
- 嫌だった記憶が消える
- 人間関係の問題が自動的に解決する
- 次から必ずうまく対応できる
というわけではありません。
その意味では、「書けばすぐに現実が変わる」と期待すると、意味がないように感じることがあります。
しかし、嫌なことノートの役割は、相手や環境を直接変えることではありません。
嫌だった出来事から、自分に必要な情報を取り出すことです。
たとえば、
> 上司に話しかけられてイライラした
という出来事があったとします。
この出来事だけでは、「上司が嫌だった」という記録で終わります。
もう少し分けてみると、次のようなことが見えるかもしれません。
- 集中している途中で中断されたのが嫌だった
- 急ぎではない話にすぐ対応するよう求められた
- こちらの都合を確認されなかった
- 作業に戻るまで時間がかかった
- 自分の時間を軽く扱われたように感じた
ここまで分かれば、次に考えることも変わります。
- 集中中はあとで対応すると伝える
- 急ぎかどうかを確認する
- 口頭ではなくチャットに残してもらう
- 集中する時間帯を先に共有する
嫌なことノートの意味は、出来事を書いたことそのものより、次に自分を守るための材料を残せることにあります。
嫌なことノートが「意味ない」と感じやすい理由
1. 嫌だった出来事だけを書いて終わっている
嫌なことがあった直後は、まず気持ちを外に出したくなるものです。
たとえば、
- 最悪だった
- 本当にムカつく
- あの人は無理
- また嫌なことをされた
- なんで自分ばかり
- もう関わりたくない
と書くことがあります。
最初は、それでも構いません。
感情を言葉にすることで、自分が怒っていたことや傷ついていたことに気づける場合もあります。
ただし、毎回そこで終わると、嫌な出来事を保存するだけのノートになってしまいます。
相手への不満は残っても、
- 自分は何に反応したのか
- 何を守りたかったのか
- 次はどうするのか
が分からないためです。
書いても状況が変わらないと感じる時は、感情の記録で止まっていないか確認してみましょう。
2. 「誰が悪いか」だけを考えている
嫌な出来事が起きた時、相手に問題がある場合もあります。
失礼な言い方をされた。
一方的に負担を押しつけられた。
何度伝えてもやめてもらえなかった。
そのような出来事まで、自分の考え方だけで片づける必要はありません。
一方で、「相手が悪い」という結論だけでは、次に自分が取れる行動が見えないことがあります。
相手の問題とは別に、
- 次に同じことをされたらどうするか
- どの段階で断るか
- どこまでなら受け入れられるか
- どのような言葉なら使えそうか
- 距離を取る必要があるか
を考えることで、自分側の選択肢を増やせます。
嫌なことノートは、無理に自分の反省点を探すためのものではありません。
相手を変えられない場面でも、自分にできることを残すためのものです。
3. 毎回の出来事を別々の問題として見ている
その時は別々の出来事に見えても、記録を重ねると共通点が見つかることがあります。
たとえば、
- 友人から長時間相談されて疲れた
- 同僚の愚痴を聞いて気分が重くなった
- 家族の不機嫌をなだめて疲れた
という出来事があったとします。
相手も状況も違いますが、振り返ると、
> 人の強い感情を長時間受け止めると疲れやすい
という共通点が見えるかもしれません。
ほかにも、
- 急な予定変更があると疲れる
- 断る余地のない頼まれ方が苦手
- 話を途中で遮られると強く傷つく
- 返信を急かされると焦る
- 自分の時間を当然のように使われると腹が立つ
など、繰り返し起きているパターンが見つかることがあります。
1件ずつ書くだけでは、こうした傾向には気づきにくいものです。
自分が何に疲れやすいのかを整理したい人は、自分のストレス傾向を知る方法|何に疲れやすいのかわからない人へも参考になります。
4. 対策が抽象的すぎる
嫌なことを書いたあとに、
- 次は気にしない
- もっと強くなる
- うまく断る
- 距離を取る
- 我慢しない
- 自分を大切にする
と書いても、実際の場面では使いにくいことがあります。
対策が抽象的なままだと、次に同じことが起きた時、何をすればよいか分からないからです。
対策は、できるだけ具体的にします。
たとえば、
抽象的な対策
> 次はちゃんと断る
具体的な対策
> 急に頼まれたら、その場で返事をせず「予定を確認してから返事します」と伝える
または、
抽象的な対策
> 愚痴を聞きすぎない
具体的な対策
> 相談が始まったら、最初に「今日は10分くらいなら聞ける」と伝える
このように、実際に使う言葉や行動まで決めると、次の場面で試しやすくなります。
自分を守るための具体的なルールを考えたい人は、自分を守るためのルールの作り方|「頑張って耐える」以外の方法を持つためにも参考にしてください。
5. 書いた内容を振り返っていない
嫌なことノートは、書いた瞬間よりも、あとから見返した時に役立つことがあります。
その場では、
> なんとなく嫌だった
としか分からなかった出来事も、記録が増えると共通点が見えやすくなるからです。
たとえば、1か月分を振り返ると、
- 毎週同じ人との会話で疲れている
- 予定を急に変えられた日に強くストレスを感じている
- 疲れている夜に相談を受けると引きずりやすい
- 会議で話を遮られた時に毎回落ち込んでいる
- 頼みごとをその場で引き受けたあとに後悔している
といったことに気づくかもしれません。
記録は、1件だけでは単なる出来事です。
複数の記録を振り返ることで、自分の傾向や繰り返している問題が見えてきます。
嫌なことノートでネガティブになってしまうことはある?
嫌なことだけを書き続けると、書いている間につらくなったり、怒りが強くなったりすることはあります。
特に、次のような書き方が続くと、苦しくなりやすいかもしれません。
- 相手への怒りだけを何度も書く
- 出来事を細かく思い出し続ける
- 自分を責める材料として使う
- 「また我慢した自分はダメだ」と結論づける
- 書いたあとも何度も読み返して怒り直す
- 解決策を必ず見つけようとして無理に考え続ける
嫌なことノートを書く目的は、自分を追い込むことではありません。
書いていて苦しくなる時は、途中でやめても大丈夫です。
詳しく書けない時は、
> 今日は嫌なことがあった。今は整理できない。
だけでも構いません。
その日に対策まで考えられなければ、「あとで考える」と残しておくこともできます。
また、つらい出来事を無理に掘り下げる必要もありません。
嫌なことノートは、必ず毎日書くものでも、すべての出来事を詳しく分析するものでもありません。
自分の負担を減らすために使うものであり、記録することでかえって負担が増えている時は、書き方や頻度を調整して構いません。
嫌なことノートを意味のある記録に変える5つの項目
嫌なことノートを、書くだけで終わらせないためには、次の5つに分けて考える方法があります。
1. 何が起きたか
まずは、実際に起きた出来事を書きます。
相手の性格を評価するより、できるだけ具体的な行動を書くと振り返りやすくなります。
たとえば、
- 会議で説明している途中に話を遮られた
- 当日に予定を変更された
- 断ったあとも何度も頼まれた
- 夜に長文の愚痴が送られてきた
- 作業中に何度も話しかけられた
という形です。
「相手が最悪だった」だけではなく、何をされたのかを残します。
2. 何が嫌だったか
次に、出来事のどの部分が嫌だったのかを書きます。
同じ出来事でも、嫌だと感じる理由は人によって違います。
たとえば、話を遮られた場合でも、
- 最後まで聞いてもらえなかったこと
- 軽く扱われたように感じたこと
- 自分の考えを否定されたように感じたこと
- 伝えたいことを忘れてしまったこと
- 相手ばかりが話していたこと
など、引っかかった部分は異なります。
ここが分かると、自分が守りたいものも見えやすくなります。
3. 本当はどうしてほしかったか
嫌だったことの裏には、自分が望んでいたことが隠れている場合があります。
たとえば、
- 最後まで話を聞いてほしかった
- 予定を変える前に相談してほしかった
- 断ったら引き下がってほしかった
- 今話せるか確認してほしかった
- 自分の時間も尊重してほしかった
ということです。
「どうしてほしかったか」が分かると、自分の境界線や大切にしていることが見えてきます。
4. 以前にも似たことがあったか
今回だけの出来事なのか、何度も繰り返していることなのかを確認します。
たとえば、
- この人には毎回話を遮られている
- 別の相手にも同じように長時間相談されている
- 急な予定変更のたびに強く疲れている
- 頼みごとを断れず、あとから後悔することが多い
- 自分の話を後回しにする関係が何度も続いている
という共通点があるかもしれません。
似た記録が増えてきたら、「誰が嫌か」だけではなく、「どのような状況が繰り返されているか」を見てみましょう。
5. 次に何を試すか
最後に、次回のための小さな対策を考えます。
すべてを解決する方法でなくて構いません。
たとえば、
- その場ですぐ返事をしない
- 「今は話せない」と短く伝える
- 相談を聞く時間を先に決める
- 予定変更にはすぐ同意せず、一度確認する
- 同じことが続いたら距離を調整する
- 口頭ではなく文章で伝える
- 次回使いたい言葉をメモしておく
などです。
対策は「正解」ではなく、次に試してみる案です。
うまくいかなければ、別の方法に変えても構いません。
嫌なことノートの書き方例
例1:友人の愚痴を長時間聞いて疲れた
起きたこと
友人から電話があり、1時間以上仕事の愚痴を聞いた。
何が嫌だったか
こちらの都合を聞かれないまま話が続き、自分の時間がなくなった。
本当はどうしてほしかったか
今話せるか確認してほしかった。短い時間で終えてほしかった。
以前にも似たことがあったか
この友人から連絡が来る時は、長時間の相談になることが多い。
次に試すこと
電話に出る前に「今日は15分くらいなら話せる」と伝える。
例2:会議で話を遮られた
起きたこと
自分が説明している途中で、同僚が話し始めた。
何が嫌だったか
最後まで聞いてもらえず、自分の意見を軽く扱われたように感じた。
本当はどうしてほしかったか
説明が終わるまで待ってほしかった。
以前にも似たことがあったか
同じ同僚から何度か話を遮られている。
次に試すこと
次回は「一度最後まで説明してから質問をもらってもいいですか」と伝える。
例3:急な頼みごとを断れなかった
起きたこと
予定がある日に作業を頼まれ、その場で引き受けてしまった。
何が嫌だったか
断りづらい空気があり、自分の予定を後回しにした。
本当はどうしてほしかったか
こちらの予定を確認してから頼んでほしかった。
以前にも似たことがあったか
急に頼まれると、その場で断れず引き受けることが多い。
次に試すこと
すぐ返事をせず、「予定を確認してから返事します」と伝える。
具体的な書き方をもっと知りたい人は、嫌なことノートの書き方|何を書けばいいかわからない人のためのシンプルな始め方も参考にしてください。
書いた対策がうまくいかなかったら意味がない?
考えた対策が、必ずうまくいくとは限りません。
勇気を出して断ったのに、相手が不機嫌になることもあります。
距離を取ろうとしても、状況的に難しいこともあります。
準備していた言葉を、その場で言えないこともあります。
しかし、対策がうまくいかなかった記録にも意味があります。
たとえば、
- この言い方では相手に伝わらなかった
- その場で断るより、事前に伝えた方がよさそう
- 疲れている時は対応できない
- 相手との距離を調整する必要がある
- 自分だけの工夫では解決しにくい問題だった
といったことが分かるからです。
嫌なことノートは、正しい対策を一度で見つけるためのものではありません。
試したことと、その結果を残しながら、自分に合う対応を少しずつ探すためのものです。
嫌なことを書くだけでも意味がある場合
毎回、原因分析や対策まで考える必要はありません。
嫌なことがあった直後は、疲れていて考えられないこともあります。
そんな時は、
- 今日、嫌なことがあった
- まだうまく言葉にできない
- 今は対策を考えたくない
- 後日振り返る
- とりあえず忘れないように残す
だけでも構いません。
嫌だった感覚を無視せず、頭の外に置いておくこと自体が役立つ場合もあります。
嫌なことを書き出すことの役割については、嫌なことを書き出す効果とは?愚痴で終わらせず、改善につなげる書き方でも詳しく解説しています。
大切なのは、「必ず前向きな結論を出さなければいけない」と考えないことです。
その日にできるところまで記録し、余裕がある時に続きを考えても大丈夫です。
紙のノートに書くだけでは変わりにくい理由
紙のノートにも、自由に書ける、自分だけで保管できる、すぐ始められるといった良さがあります。
一方で、紙に書くだけでは次のような状態になりやすいことがあります。
- 書いたページを見返さない
- 過去の似た出来事を探しにくい
- 対策を書いても忘れてしまう
- 何度起きている問題なのか分からない
- どの対策が有効だったのか比較しにくい
- 記録が増えるほど整理しにくくなる
そのため、紙のノートを使う場合も、
- 嫌だったこと
- 嫌だった理由
- 次に試すこと
- 試した結果
- 同じ出来事が起きた回数
など、項目を分けて残すと振り返りやすくなります。
また、定期的にページを見返し、似た出来事に印をつける方法もあります。
重要なのは、紙かアプリかではありません。
書いた記録を、次の場面で使える形にしておくことです。
NOPE NOTEは書いて終わらず、次の対策につなげる
NOPE NOTEは、嫌だったことを、次に試せることへ変えていくためのアプリです。
嫌な出来事を書くことだけを目的にはしていません。
記録の中に、
- 嫌だったこと
- 感じたこと
- 次に試す対策
- その後の振り返り
を残し、過去の記録から自分の傾向を見つけていきます。
たとえば、
- 何度も同じ状況で疲れている
- 特定の頼まれ方に弱い
- 自分の時間を奪われる場面で強く反応している
- 人の感情を長時間受け止めると消耗しやすい
- その場で返事をした時に後悔しやすい
といったことが見えてくるかもしれません。
そして、過去に考えた対策を、次に似た出来事が起きた時に使えます。
毎回一から悩み直すのではなく、自分に合う対応を少しずつ増やしていく。
それが、NOPE NOTEが目指している使い方です。
嫌なことノートを続ける時の注意点
嫌なことノートは、無理に続ける必要はありません。
次のような状態になった時は、書き方や頻度を見直してみましょう。
- 書くたびにつらさが強くなる
- 過去の出来事を長時間思い出し続ける
- 自分や相手を責める文章ばかりになる
- 正しい対策を考えなければと苦しくなる
- 記録すること自体が義務になっている
- 書いたあとも気持ちが切り替わらない
その場合は、
- 1〜2行だけにする
- 感情の強い日は対策を考えない
- 毎日ではなく、必要な時だけ書く
- 一度記録したら、しばらく見返さない
- 自分だけでは整理が難しい出来事は、信頼できる人や専門家に相談する
といった調整をして構いません。
嫌なことノートは、自分を苦しめるための課題ではありません。
自分の負担を減らすために使うものです。
まとめ
嫌なことノートは、出来事や怒りを書くだけでは、意味がないと感じることがあります。
書いた直後に少しすっきりしても、同じ問題が繰り返されれば、「何も変わっていない」と感じるからです。
嫌なことノートを改善につなげるには、次のことを意識してみましょう。
- 何が起きたかを書く
- どの部分が嫌だったかを分ける
- 本当はどうしてほしかったかを考える
- 以前にも似たことがなかったか振り返る
- 次に試す小さな対策を残す
- 対策を試した結果も記録する
嫌なことノートは、ネガティブな感情を集めるためのものではありません。
嫌だった出来事の中から、自分が疲れやすい条件や守りたいものを見つけ、次に使える対応を増やしていくための記録です。
書いてすぐに現実が変わらなくても、記録を重ねて振り返ることで、
> また同じことで嫌な思いをした
から、
> 前にも似たことがあった。今回はこの対応を試してみよう
へ変えていくことができます。
嫌なことノートの基本的な考え方や続け方については、嫌なことノートとは?書き方・続け方・効果をやさしく解説をご覧ください。
実際に書き始める時は、嫌なことノートの書き方|何を書けばいいかわからない人のためのシンプルな始め方も参考になります。
書いて終わらせたくないときに
今日の気づきを、次に使える攻略法へ
話した内容から次に試すことをひとつ残し、実際に使えたかまで振り返れます。少し役立った方法は、自分に合う攻略法として育っていきます。
今のことを話す
