「なんか嫌だったな」
そう感じたのに、
- 何が嫌だったのか、うまく説明できない
- 自分が気にしすぎている気がする
- 時間が経つと細かいことを忘れてしまう
- でも、なんとなく心には残っている
- 同じようなことで何度も疲れている気がする
ということはありませんか。
人は、大きな出来事だけでなく、小さな違和感の積み重ねでも疲れます。
たとえば、次のようなことです。
- 会話のあと、なぜかどっと疲れた
- 頼まれごとを断れず、あとから苦しくなった
- 話を途中で遮られ、軽く扱われた気がした
- 楽しかったはずなのに、後味が悪かった
- 相手は悪い人ではないのに、会うと毎回疲れる
- 急な予定変更で、自分の時間を軽く扱われたように感じた
その場では小さなことに見えても、何度も繰り返されると、自分が何に疲れているのか分からなくなることがあります。
そんな違和感をなかったことにせず、あとから確かめられる形に残す方法が、嫌なことノートです。
この記事では、嫌なことノートとは何か、どのような効果が期待できるのか、何を残せばよいのか、続けるためにはどうすればよいのかを解説します。
嫌なことノートとは?
嫌なことノートとは、日常の中で感じた嫌なことや違和感を残し、自分が何に傷つき、どのような場面で無理をしやすいのかを知るためのノートです。
残す内容に、決まった正解はありません。
たとえば、次のようなことを残します。
- 起きたこと
- モヤモヤしたこと
- 引っかかった言葉
- 特に嫌だったこと
- その時の気持ち
- 本当はどうしてほしかったか
- 自分が守りたかったこと
- 次に同じことが起きた時に試したいこと
大切なのは、出来事を客観的に正しく説明することよりも、自分がどう感じたのかを消さないことです。
「こんなことで嫌だと思うのはおかしいかもしれない」
「相手に悪気はなかったから、気にしない方がいいかもしれない」
と思うことでも、まずはそのまま残して構いません。
嫌なことノートは、誰かを悪者にするためのものではありません。自分の感覚を確かめ、次に自分を守りやすくするためのものです。
嫌なことノートと愚痴ノートの違い
嫌なことノートと愚痴ノートは似ていますが、目的が少し異なります。
愚痴を言ったり書いたりする目的は、たまっている気持ちを外へ出すことです。外へ出すだけで、少し気持ちが軽くなることもあります。
一方、嫌なことノートでは、吐き出すことに加えて、
- 何が特に嫌だったのか
- 自分は何を守りたかったのか
- 同じことが繰り返されていないか
- 次に何を試せそうか
まで、必要な範囲で確かめます。
たとえば、次のような違いがあります。
愚痴だけで終わる場合
> 上司に話を遮られた。最悪だった。
嫌なことノートとして残す場合
起きたこと
> 会議で説明している途中に話を遮られた。
特に嫌だったこと
> 最後まで聞く価値がないように扱われた気がした。
守りたかったこと
> 自分の説明を最後まで聞いてもらいたかった。
次に試せること
> 次は最初に結論を伝え、「補足してもいいですか」と一言確認する。
嫌だった気持ちをすぐに対策へ変える必要はありません。
まず外へ出し、少し落ち着いてから「何が嫌だったのだろう」と考えるだけでも十分です。
嫌なことノートとジャーナリングの違い|書くだけで終わらせないためにでは、自由に書くジャーナリングとの違いも詳しく解説しています。
嫌なことノートで見えてくること
1.繰り返しているストレスに気づきやすくなる
一つひとつは別の出来事に見えても、記録を振り返ると共通点が見つかることがあります。
たとえば、
- 断りにくい頼みごとで疲れている
- 急かされると強いストレスを感じる
- 話を最後まで聞いてもらえないと引きずる
- 人の愚痴を聞き続けると消耗する
- 急な予定変更で気持ちが乱れやすい
- 自分の時間を軽く扱われた時に強く傷つく
といったパターンです。
「自分はいつも気にしすぎる」と考えるのではなく、どのような条件でつらくなりやすいのかを具体的に捉えられるようになります。
2.「なんか嫌」の中身を整理できる
嫌なことは、最初から言葉になっているとは限りません。
- なんとなく苦しい
- なぜか疲れた
- 後味が悪い
- うまく説明できない
- 自分でも何を怒っているのか分からない
という状態もあります。
起きたことや感じたことを少しずつ残すと、
> 頼まれたこと自体ではなく、断る余地がないように感じたのが嫌だった
> 意見が違ったことではなく、最後まで話を聞いてもらえなかったのが苦しかった
など、モヤモヤの中身が見えやすくなります。
嫌なことを書き出す効果とは?愚痴で終わらせず、改善につなげる書き方でも、違和感を言葉にする考え方を紹介しています。
3.自分が守りたかったことが分かる
嫌だったことの奥には、自分が大切にしていたものが隠れていることがあります。
たとえば、
- 話を遮られて嫌だった
→ 最後まで話を聞いてほしかった
- 急に予定を変えられて嫌だった
→ 自分の時間も尊重してほしかった
- 頼みごとを断れず苦しかった
→ 自分にも選ぶ余地がほしかった
- 愚痴を長時間聞いて疲れた
→ 休む時間を守りたかった
という形です。
嫌だったことだけを見続けるのではなく、本当は何を守りたかったのかまで分かると、次の行動を考えやすくなります。
4.次に試せる小さな行動を残せる
嫌なことを完全になくすことは難しくても、次に自分を守る方法を一つ用意することはできます。
たとえば、
- すぐに返事をせず、「少し考えます」と伝える
- 愚痴を聞く前に「今日は5分だけ」と伝える
- 会議では最初に結論を話す
- 口頭の依頼はチャットでも確認する
- 疲れている日は予定を入れすぎない
- 苦手な相手とは二人きりになる時間を減らす
といった小さな方法です。
最初から最善の対策を考える必要はありません。
実際に試してみて、合わなければ変えていけば大丈夫です。
嫌なことノートには何を書けばいい?
最初は、次の4項目から必要なものだけを残します。
1.起きたこと
まずは、何が起きたのかを短く残します。
- 会議で話を遮られた
- 急に予定を変更された
- 同僚の愚痴を長時間聞いた
- 強い口調で否定された
- 断れずに仕事を引き受けた
きれいな文章にする必要はありません。
2.特に嫌だったこと
出来事の中でも、どの部分が強く引っかかったのかを考えます。
- 最後まで話を聞いてもらえなかった
- こちらの予定を確認されなかった
- 断りにくい言い方をされた
- 自分の気持ちを軽く扱われた
- 休む時間を使われた
分からない場合は、「まだ分からない」と残しても構いません。
3.守りたかったこと
本当はどうしてほしかったのか、自分は何を大切にしたかったのかを考えます。
- 最後まで話を聞いてほしかった
- 自分の都合も確認してほしかった
- 断る選択肢がほしかった
- 休憩時間を守りたかった
- 対等に扱ってほしかった
「なぜ嫌だったか」を責める材料ではなく、自分の希望を確かめるために使います。
4.次に試せること
余裕がある時だけ、次の場面で試す小さな方法を考えます。
- 「今すぐは決められません」と伝える
- 「最後まで説明してもいいですか」と一言確認する
- 「今日は少しだけなら聞けます」と先に伝える
- 変更点を文章で確認する
- 同じ状況になったら一度席を離れる
嫌なことが起きた直後に、対策まで決める必要はありません。落ち着いてから付け足しても大丈夫です。
具体的な記入方法は、嫌なことノートの書き方|何を書けばいいかわからない人のためのシンプルな始め方でも紹介しています。
嫌なことノートの具体例
例1:仕事の方針を急に変えられた
起きたこと
> 昨日言われた通りに資料を作ったのに、今日になって方向性を変えられた。
特に嫌だったこと
> 作業に使った時間を軽く扱われたように感じた。
守りたかったこと
> 作り込む前に、変更の可能性を共有してほしかった。
次に試せること
> 次回は作り始める前に、方向性だけ中間確認する。
例2:話を最後まで聞いてもらえなかった
起きたこと
> 会議で説明している途中に話を遮られた。
特に嫌だったこと
> 自分の話には聞く価値がないように感じた。
守りたかったこと
> 最後まで説明してから判断してほしかった。
次に試せること
> 最初に結論を伝え、「理由も説明していいですか」と確認する。
例3:愚痴を長時間聞かされた
起きたこと
> 昼休みに、同僚の愚痴を30分聞いた。
特に嫌だったこと
> 自分の休憩時間がなくなり、気分まで重くなった。
守りたかったこと
> 昼休みを一人で休む時間として使いたかった。
次に試せること
> 次は「今日は5分だけなら聞ける」と最初に伝える。
書けない時は、話すところから始めてもいい
嫌なことノートという名前でも、最初から文章として整理して書く必要はありません。
嫌なことがあった直後は、
- 何から書けばよいか分からない
- 気持ちがまとまらない
- 原因や対策まで考えられない
- 書くこと自体が負担に感じる
こともあります。
そのような時は、思ったことをそのまま話したり、一言だけ残したりするところから始めても構いません。
NOPE NOTEでは、まとまっていない状態のまま話し、短いやり取りを通して、必要な場合だけ次の内容を整理できます。
- 起きたこと
- 特に嫌だったこと
- 守りたかったこと
- 次に試せること
すべてを保存する必要はなく、話して終わることや、要点だけを残すことも選べます。
大切なのは、きれいな記録を作ることではありません。今の自分に無理のない形で、違和感を外へ出すことです。
嫌なことノートを続けるコツ
一言だけでも残す
毎回すべての項目を埋める必要はありません。
- 断れなくてしんどかった
- あの言い方が苦しかった
- 会ったあとに疲れた
- なんとなく後味が悪かった
という一言だけでも十分です。
対策を急いで考えない
嫌なことがあった直後は、気持ちを落ち着けるだけで精いっぱいな場合があります。
その日は出来事だけを残し、あとから「何が嫌だったのか」「次は何を試せそうか」を考えても構いません。
毎日続けようとしない
嫌なことノートは、毎日書くこと自体を目的にするものではありません。
- 同じことでまた疲れた
- 前回の対策を思い出したい
- 何が嫌だったのか整理したい
- 次の予定に備えたい
と感じた時に戻れることの方が大切です。
うまくいかなかった結果も残す
考えた対策を、その場で使えないこともあります。
その場合も失敗ではありません。
- 緊張して言えなかった
- タイミングがなかった
- 別の言い方の方がよさそうだった
- 今回の相手には合わなかった
と分かるだけでも、次の方法を考える材料になります。
嫌なことノートを書く時の注意点
嫌な出来事を何度も詳しく書くことで、かえって苦しくなる場合もあります。
そのような時は、
- 詳細を書かず、一言だけ残す
- その日は整理や対策まで進めない
- 読み返すのをやめる
- 記録自体を一度休む
など、自分の負担を減らしてください。
嫌なことノートは、無理をして続けるものではありません。
また、生活に大きな支障が出るほどつらい状態が続く場合や、自分だけでは抱えきれないと感じる場合は、ノートやアプリだけで解決しようとせず、医療機関や相談窓口などの専門的な支援を利用することも選択肢です。
嫌なことノートはネガティブになるためのものではない
「嫌なことを書いたら、余計にネガティブになるのでは」
と不安になる人もいるかもしれません。
嫌なことノートの目的は、嫌な出来事を繰り返し思い返すことではありません。
- 自分はどのような時に疲れやすいのか
- 本当は何を守りたかったのか
- どのような距離の取り方が必要なのか
- 前回は何が少し役立ったのか
を確認し、次に自分を守りやすくすることです。
ただし、書くほど苦しくなる場合は続ける必要はありません。自分に合う範囲と方法で使うことが大切です。
「意味がないのでは」「書くと余計につらくなるのでは」と感じる人は、嫌なことノートは意味ない?書いても変わらない理由と改善につなげる方法も参考にしてください。
嫌なことノートについて詳しく知りたい人へ
テーマに合わせて、次の記事も参考にしてください。
- 嫌なことノートの書き方|何を書けばいいかわからない人のためのシンプルな始め方
- 嫌なことを書き出す効果とは?愚痴で終わらせず、改善につなげる書き方
- 嫌なことノートは意味ない?書いても変わらない理由と改善につなげる方法
- 嫌なことノートとジャーナリングの違い|書くだけで終わらせないために
まとめ
嫌なことノートとは、日常の中で感じた嫌なことや違和感を残し、自分が疲れやすい場面や、次に自分を守る方法を見つけるためのノートです。
最初からすべてを整理する必要はありません。
まずは、
- 起きたこと
- 特に嫌だったこと
- 守りたかったこと
- 次に試せること
のうち、残せそうなものだけで十分です。
書くのが難しい時は、まとまっていないまま話したり、一言だけ置いたりするところから始めても構いません。
嫌だったことを残すのは、誰かを責めるためではありません。
自分の感覚をなかったことにせず、次に同じことが起きた時に、今より少し自分を守りやすくするためです。
書いて終わらせたくないときに
今日の気づきを、次に使える攻略法へ
話した内容から次に試すことをひとつ残し、実際に使えたかまで振り返れます。少し役立った方法は、自分に合う攻略法として育っていきます。
今のことを話す
